光子ー光子弾性散乱の観測

古典電磁気学では光(電磁波)どうしの散乱は起こりません。しかし量子電磁力学を考慮すると摂動の高次効果として光子ー光子の弾性さんらが起こることが予言されています。しかしその散乱断面積が1μbと小さいこと,衝突する光子と散乱する光子のエネルギーが全く同じであるため衝突する光子と散乱した光子の選別が困難なことなどから,直接の観測ままだなされていません。

私たちは光子光子衝突型加速器という新しいタイプの加速器を建設してこの現象の観測を目指しています。

光子ー光子衝突型加速器

光子ー光子衝突型加速器は,高エネルギーの電子にレーザー光を照射して,逆コンプトン散乱という現象を利用して高エネルギーの光子を得ます。

光子ー光子弾性散乱は,0.5MeV程度のエネルギーの光子を衝突させるとその確率が最大になります。200MeVの電子と波長1μm(エネルギー1.2eV程度)のレーザー光を散乱させるとエネルギー0.5MeV程度の光子を生成することができます。

どのような測定装置を用いてどの程度の精度で光子ー光子弾性散乱を観測できるかを検討するために,詳細なシミュレーション研究を行っています。

特に2光子の衝突による電子陽電子対生成はその発生確率が光子ー光子弾性散乱の10万倍と非常に大きいため大きなバックグランドとなります。このようバックグランドとシグナルの弁別性能の評価は機械学習をつかって検討してます。


参考文献

"Errarum to: Light-by-Light Scattering in a Photon-Photon Collider",  T. Takahashi, G. AnY. ChenW. ChouY. HuangW. LiuW. LuJ. LvG. PeiS. PeiC. P. ShenB. SunC. ZhangC. Zhang, EUROPEAN PHYSICAL JOURNAL Cm, 82 404  (2022)

"Light-by-light scattering in a photon-photon collider”,  T. Takahashi, G. AnY. ChenW. ChouY. HuangW. LiuW. LuJ. LvG. PeiS. PeiC. P. ShenB. SunC. ZhangC. Zhang, EUROPEAN PHYSICAL JOURNAL Cm 78, 893-1 -- 893-7 (2018)