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Yuuki Uesugi

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〒739-8530
広島県東広島市鏡山1-3-1
広島大学大学院先端物質科学研究科204N

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名前 / Name

上杉 祐貴
Yuuki Uesugi
Apr. 2010 ~ Mar. 2016


研究題目 / Researchs

レーザーコンプトン光源のための自発共鳴型光蓄積共振器の開発
Development of the self-resonating optical cavity for laser-Compton photon sources
博士学位取得題目
Nov. 2014 ~ Mar. 2016
概要:
レーザーコンプトン光源は、レーザー光と加速器電子ビームの逆コンプトン散乱(トムソン散乱)によりエックス線・ガンマ線領域の散乱光子を得る光源のことであり、商用・医療分野に有益な小型エックス線源や、素粒子・原子核実験に有用な高エネルギーガンマ線源への応用が期待されている。開発における最大の課題は散乱光の輝度を向上することであり、そのためにレーザー光を蓄積・集光可能な光共振器の開発が精力的に行われている[4-6]レーザー光を共振器に蓄積するためには、両者の共鳴条件を満たすために発振波長と共振器長を高精度にフィードバック制御する必要がある。しかし共振器の蓄積増大率が大きくなると、その線幅が狭くなるために、精度性能への要求が厳しくなる問題があった。
増大率が1万倍を超えるような高フィネス(*)共振器にレーザー光を安定に蓄積維持するために、下図のような光増幅器と共振器を一体としたシステムを考案した。増幅器より発せられた雑音光のうち、共振器の共鳴条件を満たす波長のみが透過し、増幅器に正帰還して発振に至る。発振波長が共振器の変動に追随することから、フィードバック制御フリーな光蓄積システムとなる。
今回、フィネス65万の共振器を用いて、大気中の普通実験環境下において蓄積実験を試みた。その結果、発振波長1047nm、線幅2nm(FWHM)の幅広なスペクトルでレーザー発振に成功した。発振はマルチモード的であり、σ = 1.7 %の強度雑音を有しながら外乱に対して非常にロバストであった。330 mWの励起光を用いたとき、共振器内の蓄積強度は約2.5 kWであり、蓄積増大率は約20万倍であった。
今回の開発結果を踏まえて、今後レーザーコンプトン光源への応用を目指した大強度化とモードロックパルス化の試験を進めてゆく予定である。また今回開発した自発共鳴型共振器は、高フィネス共振器をセンシングに用いるアプリケーションに応用が可能である。例えば真空複屈折の観測実験[7]などに有用であると期待される。


逆コンプトン散乱によるILCのための高強度偏極陽電子源の開発
Development of an intense polarized positron source using the inverse-Compton scattering for the ILC
日本学術振興会特別研究員採用題目
Apr. 2014 ~ Mar. 2016


リニアコライダーのための結晶-非結晶複合標的による大強度陽電子源の開発
Development of an intense positron source using a crystal-amorphous hybrid target for linear colliders
修士学位取得題目
Apr. 2010 ~ Sept. 2013
概要:
International Linear Collider[1] (ILC)やCompact Linear Collider[2] (CLIC)などの次世代の電子-陽電子衝突型線形加速器は、ルミノシティ向上のために大強度の陽電子源を必要する。しかし、電子ビームをタングステンなどの高密度の金属標的に衝突させて陽電子を生成する従来の陽電子源では、熱負荷の制限のために要求性能を満たすことが困難であった。電子ビームの代わりに高輝度のガンマ線を用いて陽電子を生成することで熱負荷を軽減出来る可能性が指摘されており、アンジュレーターや逆コンプトン散乱を利用するガンマ線入射方式の陽電子源が考案されている。結晶-非結晶複合標的もガンマ線入射型の方式で、チャネリングと呼ばれる結晶と電子ビームの相互作用を利用してガンマ線を生成する[3]。
高エネルギー加速器研究機構(KEK)のKEKB入射器に複合標的による陽電子生成装置を構築し実験を行った。入射器ラインから引き出した8 GeVの電子ビームは、まず厚さ1 mmのタングステン単結晶に導かれる。結晶軸と入射ビームが数mradの精度で平行になると、電子ビームは結晶中の原子列がつくる静電ポテンシャルに巻き付くように運動する。この際、コヒーレント制動放射やチャネリング放射といった強力な電磁放射により高強度のガンマ線が生成される。生成されたガンマ線は下流に配置した通常の(非結晶性/多結晶性の)タングステン標的に照射され、電子-陽電子の対生成をおこす。生成された陽電子は電磁石により運動量分析されて検出器に届けられる
実験では結晶の角度や陽電子生成標的の厚さをいろいろに変えて系統的な測定を行った。また電子ビームを直接に標的に入射する実験も行い、従来方式との比較も行った。その後、実験で得られた測定データと、高エネルギー素粒子反応シミュレーターGeant4およびチャネリング反応のシミュレーターを合わせた数値計算との結果を比較し、両者が良い精度で一致することを確認した。
今回の研究により、結晶を用いたガンマ線生成と、それを利用した陽電子生成が可能であることが、初めて実証された。現在この複合標的はCLIC陽電子源の基盤設計案として採択され、陽電子捕獲部などを含めた総合的な性能評価を行うことが計画されている。またガンマ線生成効率の向上のために、最適な結晶素材の探索なども計画されている。


論文業績 / Publications

第一著者
共著
arXive


国際会議における発表

口頭発表
  • "Feedback-free optical cavity with self-resonating mechanism.for laser-Compton scattering sources", LCWS2015, the Fairmont Chateau Whistler Hotel, Whistler B.C. Canada, Nov. 2-6(5) 2015.
  • "Development of a self-buildup stacking cavity.for laser-Compton sources", ALCW2015, KEK, Tsukuba, Ibaraki, Japan, 19-24(24) April 2015.
  • "ATF laser-Compton status", LCWS 2014, Belgrade, Serbia,.08 October 2014.
  • "Toward High-Power Storage and High-Enhancement Factor",.POSIPOL 2014, Ichinoseki, Iwate, Japan,.28 August 2014.


国内学会・シンポジウム等における発表

口頭発表
  • “レーザーコンプトン光源のための高フィネス自発共鳴型光蓄積共振器の開発”, 日本物理学会2015年秋季大会, 28aSN-6, September 2015.
  • “レーザーコンプトン光源のための自発共鳴型光蓄積空洞の開発”, 日本物理学会第70回年次大会, 24pDE-2, March 2015.
  • “レーザーコンプトン散乱による小型高輝度光子ビーム源の開発”, 日本物理学会第69回年次大会, 27pTJ, March 2014.
  • “リニアコライダーのための結晶‐非結晶複合標的による陽電子源開発Ⅲ”, 日本物理学会第68回年次大会, 29aRC, March 2013.
  • “リニアコライダーのための結晶‐非結晶複合標的による陽電子源開発Ⅱ”, 日本物理学会第67回年次大会, 26pFA, March 2012.
ポスター発表
  • "レーザーコンプトン光源のための高フィネス自発共鳴型光蓄積共振器の開発, Development of the self-start build-up high-finesse cavity for laser-Compton based photon sources", 第12回日本加速器学会年会, THP116, August 2015.


その他参加歴 / Others
  • "Eighth International Accelerator School for Linear Colliders", Hotel Rixos Downtown, Antalya, Turkey, 4 December - 15 December 2013.


表彰歴 / Awards
  • "日本加速器学会年会賞(ポスター部門), PASJ Certification of Presentation Award", 第12回日本加速器学会, The 12th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (PASJ), 5th-7th August, 2015.
  • "逆コンプトン散乱によるILCのための高強度偏極陽電子源の開発", 特別研究員DC2, 日本学術振興会, Apr. 2014 ~ Mar. 2016
  • "日本学生支援機構 第一種奨学金返還 全額免除", May 31, 2013.

図:コンプトン坊や

参考文献 / References
  • [1] ”The International Linear Collider: Technical Design Report”, (http://www.linearcollider.org).
  • [2] M. Aicheler, et al., ”A Multi–TeV Linear Collider Based On CLIC Technology: CLIC Conceptual Design Report”, CERN– 2012–007, SLAC–R–985, KEK–Report–2012–1, PSI–12–01, JAI–2012–001.
  • [3] R. Chehab, F. Couchot, A. R. Nyaiesh, F. Richard, X. Artru, 13th IEEE PAC, 283–285 (1989).
  • [4] T. Akagi, S. Araki, Y. Funahashi, Y. Honda, H. Kataoka, T. Kond, S. Miyoshi, T. Okugi, T. Omori, K. Sakaue, H. Shimizu, T. Takahashi, R. Tanaka, N. Terunuma, J. Urakawa, M. Washio, H. Yoshitama, Nucl. Instr. Meth. A 724, 63 (2013).
  • [5] K. Sakauea, S. Arakib, M. Fukudab, Y. Higashib, Y. Hondab, N. Sasaoc, H. Shimizub, T. Taniguchib, J. Urakawab, M. Washioa, Nucl. Instr. Meth. A 637, S107 (2011).
  • [6] H. Carstens, N. Lilienfein, S. Holzberger, C. Jocher, T. Eidam, J. Limpert, A. Tünnermann, J. Weitenberg, D. C. Yost, A. Alghamdi, Z. Alahmed, A. Azzeer, A. Apolonski, E. Fill, F. Krausz, I. Pupeza, Opt. Lett. 39(9), 2595 (2014)
  • [7] X. Fan, et al., "パルス磁石を用いた真空複屈折の探索", 日本物理学会2015年秋季大会, 26pSS-9, September 2015.